「死に時がわからなくなると困るので」
- 田中好
- 2021年3月5日
- 読了時間: 2分
更新日:2021年3月7日
管理者の田中好です。
2021年3月現在、2014年10月の開設から6年半になろうとしています。
普通の民家で定員は6〜8名なので、小さなホームですが、先月2月25日に23人目の方をお見送りしました。1年に3〜4人の方とのお別れをしていることになります。
今回あらためて実感したのは、本当に一人一人終わり方が違うこと、そしてそのどれもが力強い、心強いメッセージをしっかり私たちに手渡してくれることです。
食べられなくなったら命を終える。全ての生き物に共通の最後の姿。
そんな自然の摂理に沿ったまなざしとかかわりで、ともに歩く道のりは、ニュートラル。
波うちながら次第に下りていく歩みは静かで、でもしっかりと大地を踏みしめている感覚があります。その人の終わりゆく身体のベクトルに逆らわない。ゆっくりゆっくり下りてゆく。無理をしないと、苦痛がない。本当に。目で、耳で、触れて、心で感じて、ぎりぎりまでやりとりができる。末期の水を自分で飲む!そんな場面に居合わせることも一度ならず。そんな最期に立ち会うことができた家族や私たち介護職員は、揺るぎない何かを感じます。ひとりの例外もなく辿る道、「老いて死ぬ」ということ。「何もかも思うようにはならない、でも心配する必要はない」と教えてくれているように感じます。
「死に時がわからなくなると困るので」
このホームをつくるきっかけとなった中村仁一医師から届いた手紙の一文です。
2012年にベストセラーとなった『大往生したけりゃ医療とかかわるな 自然死のすすめ』の著者です。昨年夏に肺がん末期状態であることがわかり、秋には仕事に区切りをつけ、終わりの支度や心や身体の変化を最後まで発信し続けてくださっています。なるべく薬や酸素の頼らず、自分の身体が終わっていく過程になじむようにいきたい、その理由が上記の一文だと思います。先生が25年前から一貫して言っておられることです。それを今体現、実況中継されています。先生から教えて頂いたこの括目すべき真実(自然な看取りの素晴らしさ)を多くの方に知ってもらいたいのです。
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