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執筆者の写真田中好

「老いてぼけて死ぬということ」

老いて死んでゆく人々と共に居たこの10年

 

元気な人たちが考える理想の死に方

 

ピンピンコロリ

痛み苦しみなく死にたい

場合によっては安楽死も

 

そんな言葉がぱさぱさして聞こえるのも

全力で老いの日々を生きその命が尽きるまで生きてゆくお年寄りのそばにいて

その生々しくもたくましく美しい生きざまに感じ入るからだ

 

頭で考える死と身体が体感する死は違う

 

その悲しみや憤りをかみしめながらお年寄りは生きる

干し柿のおいしさを心から味わいとろけるような笑みをたたえ

安らかな呼吸で眠り

不快な言葉で他人を蔑み攻撃し

大好きなおじいさんの愛に包まれる

 

時空を超える予定していなかった自らの老いとぼけ

思いがけず与えられた時間を懸命に生きる

いつも本気で真剣

目覚めてから眠りにつくまで

悔しい 悲しい 絶望

こんなはずではなかった

死んだ方がましだ

殺せ

 

そして

2時間後には何事もなかったように穏やかな時間が訪れる

ここにいて自分がどんなに安心し幸せかと感謝のシャワー

私たち職員をほめたたえ励ましてくれる力強く優しい言葉と満面の笑み

 

こんなはずじゃなかった自分の姿を抱えて生きること

死にたくても死ねない

死にたいほど悲しくて絶望に打ちひしがれるかもしれないけれど

生きててくれてよかった

生きていてほしい

もっと一緒に居たい

最期まで見届けたい

 

きれいごとではない生々しさ

すべてまるごと

人間なんだと

 

逃げも隠れもしない潔さ

すがすがしさ

 

身体を張った教え

そのひとつひとつを

身体を張って受けねばならない

身が引き締まる思い

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